新人が語る心に残る看護場面

2018.06.01 今できることを

入職して1ヶ月も経っていないときです。私は看護師として働き始め『早く色々なケアができるようにならないと。』と、緊張とともに焦っていました。また、同期と自分を比べ悩み始めていた時期でもありました。そんな時、夜間せん妄になってしまうAさんを先輩と一緒に受け持ちました。朝、挨拶をすると優しい方で『こんな方が夜、暴れてしまうんだ。』と驚きでした。
その日のAさんの目標は「日中の離床」でした。Aさんを車椅子に移乗し、危険行動がないように側に寄り添いお話をしていました。忙しい病棟なので先輩たちが忙しそうに走り回っている姿を見て、自分はこのまま傍にいるだけでいいのだろうか?と少し焦りながら話をしました。それでもAさんはベッドでは見られなかった笑顔でお話しされ、嬉しく思いました。
「今日はずっと起きていられましたね。」と先輩看護師がAさんに話しかけると、「だって寝かせてくれなかったからね。」とAさん。私は『嫌だったのかな。』とドキッとしましたが、「でも、ただ起きろって言われると辛いけど、話してくれたから起きていられたよ。ありがとう。」と言うAさんの笑顔を見たとき、私は泣きそうになりました。
まだまだ何も出来ないと思っていた私にとって、その言葉がとても嬉しかったのです。今でも出来ないことばかりで悩む自分ですが、自分の今出来ることをしっかりやっていこうと思えた場面でした。

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