新人が語る心に残る看護場面

2023.03.28 家族の存在の大切さ

心不全の増悪により入院し、治療を終えて退院予定だったAさんを受け持ったときのことです。受け持ちの日はAさんの退院予定日でした。しかし、同室の患者さんの感染症が発覚したため退院を延期することになってしまいました。もともと、カテーテル検査等を積極的に希望せず、帰宅願望が強かったAさんは落ち込み、心電図モニターをつけることやバイタル測定を拒否していました。Aさんからは「あなたは悪くないの、でも私は治療とかしたくないし家に帰りたいの。ごめんなさい。」と言われました。私は、(もしAさんに何かあった時、すぐに気づくためにもモニターをつけた方がいいけど、拒否されてしまった。どうしたらいいんだろう。)と思い、リーダーにAさんの話の内容を報告しました。リーダーからは、「しばらくそっとしておいた方がいいね。でも、様子は見に行ってね。」と助言をもらいました。私は拒否された場合の対応がわからなかったので、この場合は患者さんと距離をおくことも必要だということも学びました。時間をおいてAさんの元に行きましたが、Aさんの気持ちは変わりませんでした。リーダーに報告して3時間くらい経ってからリーダーから「Aさんに心電図モニターつけたから」と言われ、私はAさんの元に行きバイタル測定をしつつ話を聞きました。Aさんは「家族からメールがあって、もしコロナに感染したら大変だから大事をとって入院した方がいいと言われました。家族に迷惑をかけられないから入院します。」と穏やかな表情で言いました。私はAさんが入院に納得できて良かったと思いました。

Aさんはもともと積極的な治療を希望せず帰宅願望が強かったので、今回の退院の延期は相当気持ちが落ち込みバイタル測定等を拒否していました。その時は、患者さんにケアなどを強要せず少し距離をおいてみることや、時には家族の協力も得る必要があることを学びました。特に今回は家族の影響が強かったため、家族の存在の大切さを改めて学びました。

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