新人が語る心に残る看護場面
2020.04.09 患者さんを知る
患者さんをレントゲンへお連れしたときのことです。レントゲン撮影まで待っている間、患者さんと雑談をしました。生まれた町や何十年も続けてきた仕事のこと、病気の告知を受けたときの気持ち…。Aさんは板前さんで、魚についての知識が驚くほど豊富でした。がんが見つかったことで、店を閉め、化学療法に望みをかけていました。また、Bさんは夫婦で自営業を営んでいます。健康診断をきっかけに腫瘍が見つかり、手術目的で入院をし、入院中も従業員のことを気にかけていました。
そのとき先輩の「患者さんはさまざまな希望や不安を抱いて治療に臨んでいるんだよ。」という言葉が浮かびました。以前、この言葉を聞いたときは、「そうだな」と軽い気持ちでしか思っていませんでした。しかしレントゲンを待つ間、患者さんといろんな話をして先輩の言葉の意味が理解できた瞬間でした。
そして自分は「ここは急性期の病院だから、治療・診療の補助を優先しなければ」と言い訳をして、患者さんがどういう人間か、まるで理解しようとしていない自分に気づき、何とも苦々しい気持ちになりました。自分の看護を見直すことができた、数分でした。