新人が語る心に残る看護場面
2020.10.30 初めてのお看取り
入職してまだ間もない頃、ケアや記録に追われバタバタとしていた記憶があります。慢性心不全を抱えていた80代のBさんがいました。Bさんは私が初めて入院業務、転院の対応をした方です。そしてBさんのご家族はいつも面会に来られていました。私を見かけると「いつもお世話になっています。」と笑顔で声をかけて下さっていました。Bさんは状態が安定し一度退院しましたが、その後状態悪化と改善を繰り返し入退院を2度繰り返しました。再入院のたびにBさんは「いやぁ、また戻ってきちゃったよ。今回もよろしくね。」と話し、ご家族も「○○さん(私)、また今回もよろしくね。」と笑顔で挨拶して下さいました。
3回目の再入院の時のことです。胸水貯留によりドレーンが挿入され、食事もあまり摂れず、これまでの入院と比べると全身状態は悪化していきました。医師よりICがあり、今後はDNARの方針となりました。その後、毎日いろんな方が面会に訪れていました。もちろんご家族も毎日来られていました。しかし徐々にご家族の表情が悲しい顔になっていきました。そして遅出業務をしていたある日、夜勤リーダーの先輩が「Bさんがお亡くなりになったよ。」と声をかけてきました。私はBさんのエンゼルケアを先輩と一緒に行わせていただきました。最期付き添っていたご家族から「○○さん(私)、本当にありがとうございました。おじいちゃんもきっと喜んでいます。みなさんによくしてもらって。お世話になりました。」とおっしゃって下さいました。
看護師としていつかは経験するだろうと覚悟していた看取り。私がBさんを通して初めての業務を行い、多くのことを学ばせていただきました。私はこれまでのBさんとの関わりや看取りの経験から、日々の関わりを大切にして患者さんを看ていこうと改めて思いました。