私たちのめざす看護
私たちの看護
2020.11.16
ユマニチュードの実践を通して
B2西病棟では主に脳卒中や脳腫瘍・脊髄疾患、脳血管疾患や神経疾患の患者さんが入院されています。脳血管疾患を発症すると意識障害や麻痺などが出現しますが、中にはさらに認知機能の低下がみられる患者さんもいます。既往に認知症がある方も近年増えていますが、疾患そのものや長期の入院生活の中での認知機能の低下は多くみられます。そのような患者さんとのコミュニケーションの方法としてユマニチュードというものがあり、私たちの病棟では今年度の目標としてユマニチュードの実践をあげています。
A氏は入院前より軽度の認知症がありましたが、脳血管疾患を発症し更に認知機能が低下しており、他の患者さんと同じように声をかけても上手くコミュニケーションをとる事ができないことがありました。私たちは、ユマニチュードの基本技術である、「見る」「話す」「触れる」「立つ」を使用し、ケアを行うことにしました。A氏の目線に合わせて話を聞き、触れるケアをしていくと、少しずつA氏の言葉や思いが理解できるようになってきました。すると、徐々にこちらのことばにも耳を傾けてくれるようになり、会話の内容にも理解を示してくれるようになりました。また、発症後、車椅子で過ごしていましたが、PTとのカンファレンスでトイレまでの歩行を目標に、立つケアを取り入れ歩けるようになりました。そのときに「ありがとう」といってくださったA氏の笑顔を見て、私たちも本当に嬉しく思いました。
今後は認知症を抱えた方が脳血管疾患、神経疾患を発症し、入院されるケースはさらに増えると考えられます。私たちはこれからも、ユマニチュードの技法をスタッフ全員が収得し、患者さんが少しでもその方らしく過ごしていただけるような看護を継続していきたいと思います。
B2W病棟 井上 由稀
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