新人が語る心に残る看護場面
2020.11.16 初めての洗髪と手浴
人工呼吸器を装着し、頸部以下が麻痺のため動くことができない全介助のAさんがいました。Aさんは毎日全身清拭を行っていましたが、手浴や足浴、洗髪などは行っていませんでした。その日Aさんを受け持っていた私は、Aさんの髪の汚れが気になり、洗髪を提案しました。するとAさんの目つきが変わりました。その後洗髪と手浴を実施すると、涙を流しながら何度も「ありがとう」と口を動かして伝えてくれました。Aさんは看護師に髪を洗ってほしいと言いたくても言えなかったのではないかと思いました。思い起こすと、人工呼吸器により言葉を発することができず、看護師への気兼ねや伝えたいことがうまく伝わらないという諦めか、口数が少なくなっていったように思います。
この経験から、毎日業務的に患者さんを看るのではなく、個別性をふまえこの患者さんに何が必要なのか考えていくことが大切だと思いました。また私たちは当たり前のように入浴できますが、できることができないことを考えていればもっと早く洗髪などが行われていないことに気付くことができ、実施できたと思います。そのため、一つ一つの小さな気づきを大切に、そしてそれに気づける看護師になりたいと思いました。また自分中心ではなく、患者さんを優先したスケジュールを立て、寄り添った看護ができるようになりたいです。