新人が語る心に残る看護場面
2021.04.02 挨拶
フレイルで入院されたAさん。私が初めて受け持たせていただいた日は、私の呼びかけに反応がなく、このまま目を覚まさないのではないかと思ってしまうほどでした。しかしAさんからの反応がなくても、Aさんのもとを訪れたときは挨拶と声掛けをし続けていました。
ある日、Aさんのもとへ朝の挨拶に行くと、弱々しい声ではありましたが返事があったのです。私は初めて返事があったことに、とてもうれしくなり「初めて声が聞けて、挨拶することができて、とてもうれしいです。」と伝えました。その日、Aさんの清拭をしていると、Aさんから今までの自分の状況や入院する前は一人で寂しかったこと、今まで意識はなくても声は聞こえていたということを話してくださいました。私はAさんと会話していて、一人で生活し孤独だったという姿を、一人で上京した自分と重ねました。Aさんは個室で入院されており、誰かが訪ねない限り人となってしまう現状を考え、Aさんの受け持ちではない日でも、なるべく挨拶に伺おうと思いました。
それから勤務の日は、Aさんのもとへ挨拶に行くようになりました。Aさんも次第に郭清している時間が増え、言葉が多くなり、全く動かなかった状態からトイレまで歩いて行けるようになり、次第に回復していく姿がありました。Aさんから「あなたが誰よりも気にかけてくれたから、元気になろうって思えたのよ。ありがとう。」とおっしゃってくださいました。
私は、たった一言の挨拶だけでも回復するきっかけになるんだと思いました。それからはどんな時でも笑顔で挨拶することは、かかさないようにしています。