新人が語る心に残る看護場面
2021.06.10 安心する
咳嗽が強く、呼吸困難感を訴えているAさんを受け持った時のことです。Aさんからナースコールがあり訪室すると、Aさんはとても苦しそうにしていました。私は何かできないかと思い、とっさに背中をさすり「大丈夫ですよ。そばにいますから。ゆっくり呼吸してください。」と繰り返し言葉をかけ続けました。そうしているうちに、Aさんはだんだん落ち着いてきて、ほっとしたような表情になりました。その日、このようなことが何度かありました。私は新人で、たいした知識も技術もないからこんなことしかしてあげられないのかと、もどかしい気持ちになっていました。
勤務交代の時間が近づき、Aさんのもとに挨拶に行くと「今日は〇〇さんでよかったよ。そばにいてくれて顔を見るだけで安心できたよ。ありがとう。」と言葉をいただきました。
Aさんの力になれていないと自分を不甲斐なく思っていた私にとって、Aさんの言葉はとても励みになりました。そして辛いときにそばにいることも、ケアにつながるのだと感じました。しかしそばにいるだけでなく、患者さんの状態をアセスメントしてさらにケアを深めていける看護師に成長していきたいと思いました。