新人が語る心に残る看護場面
2019.06.04 前向きになる取り組み
ある朝、Aさんのところに検温に行くと、Aさんは下を向き浮かない表情をしています。
『何かあったのかな?大丈夫かな?』と思いましたが、私は掛ける言葉が見当たらずそのまま検温を終えました。
Aさんは脳出血で左半身麻痺がありました。カルテの記録を見返すと、思う様に動けないため自分自身への苛立ちが募っているとのことでした。
私は何とかAさんの苛立ちや不安が軽減し、リハビリに前向きに取り組んでほしいと思いました。入院当初、寝たきりだったAさんですが、今は車椅子へ1人で移乗できる様になっていたので更衣も自分で出来るのではないかと考えました。
再びAさんのところへ行き「Aさん、不安なことがありますか?私には表情が暗く見えますよ。」と声を掛けると、「元々、野球やっていたし、思うように何も出来ないのが・・・。」と話してくれました。私は話を傾聴し、徐々に出来ることが増えていることも伝え、更衣を1人でやってみることを提案しました。最初は戸惑った表情のAさんでしたが、それでも10分かけて更衣を終えた時、Aさんは笑顔になり「出来た!」と喜んでいました。私は翌日からも継続できるように声を掛けました。
この取り組みを始めてからAさんはうつむいたり、苛立っている様子はなくなりました。