新人が語る心に残る看護場面
2019.04.30 術前訪問
OPE室の外回り業務を始めて1週間もたたない日のことでした。小児の手術に入る予定があった私は、初めての症例ということもありとても緊張していました。何から手を着ければいいのか困っている私に、「術前訪問に行って、顔を見て安心してもらうこともいいかもね。」と先輩看護師がアドバイスをくれました。私にとって術前訪問は『アレルギーや運動障害の有無を確認し、手術当日、滞りなく手術を終えるためのもの』という認識で、『顔を覚えてもらう、安心してもらう』という意味を兼ねるものとは浮かびませんでした。
先輩と一緒にA君のところへ行くと、ベッドの上で本を広げているところでした。私はA君の前にしゃがみ、笑顔で挨拶しました。するとA君は好きなテレビや食べ物の話を笑顔で話しをしてくれました。最後に「明日、入り口のところでお名前を聞くけれど、自分で言えそうかな?」と聞くと、A君は自分の名前を言い笑顔を見せました。
手術当日、手術室入り口の椅子に緊張した様子で腰掛けているA君を見つけ「覚えてるかな?」と笑顔で挨拶しました。少しはにかんだ笑顔で頷くA君を見て、全ての緊張が取れたわけではありませんが、術前訪問に行って良かったと思いました。
独り立ちできたばかりの術前訪問ですが、この経験を通し、多くの意味を見いだせたと思います。全ての症例がA君との出来事のようにはいきませんが、患者さんにとって手術を受けるという人生の中で重大な1日に関わる看護師として、もっと出来ることがあると思います。今は、それを探しながら頑張りたいと思えた出来事でした。