新人が語る心に残る看護場面
2021.10.18 私のケアで
入職してやっと独り立ちした9月ごろの話です。
私は肋骨骨折のAさんを受け持っていました。人工呼吸器を装着し、意識はありますが会話はできず、口の動きでコミュニケーションをとっていました。Aさんは痛みによる苦痛からか、痰をうまく出すことができず吸引を行っていましたが、十分に痰が取りきれない状況でした。ある日、Aさんの清拭を行おうとしたところ、SPO2の低下と疼痛がみられたのです。そこで鎮痛薬を投与し、清拭は昼に時間をずらして行うこととしました。
しばらくすると痛みも軽減したため、清拭を行いました。しかし体を動かしたせいか、SPO2の低下がみられ始めました。Aさんは苦しくて、身体を激しく動かしています。私はAさんに対してどうしたらいいのかわからず、何もできませんでした。私のケア1つでAさんの状態が変わっていくことが怖かったのです。先輩看護師が対応してくれ、Aさんの状態は落ち着きました。Aさんは「ごめんね。ありがとう。」とおっしゃいました。私はAさんに対して自分が苦痛を伴うことをしてしまったのに、その言葉を聞いて申し訳なく思いました。
私のケアが患者さんに苦痛を伴うこともあります。患者さんの状態から様々なリスクを考えること、アセスメントの必要性や対応の仕方を考えることの大切さを学びました。