新人が語る心に残る看護場面

2021.10.18 初めての急変

私が入職して初めて急変対応をした時の話です。

私はDNARの治療方針が決定しているAさんを受け持つことになりました。朝の情報収集で、Aさんは呼吸困難感が強く、少しの体動でSPO70%台にまで低下するということがわかり、とても緊張していました。

さっそくAさんのベッドサイドへ行き、私が担当することや自己紹介をしてAさんとあいさつを交わしました。私がAさんの手を握ると、「お願いします」と精一杯の声で私におっしゃいました。その後、5分も経ずに血圧が徐々に下がり始めました。何か様子がおかしいと思い、意識状態やモニター類の確認をしました。プリセプターの先輩から「急変だよ。リーダーさんをすぐに呼んで」と指示され、急いでリーダーへ報告し、Aさんのご家族を呼んでいただきました。私がAさんの血圧が下がってきたことに気づいてから、20分も経たずにAさんは亡くなりました。

私は初めての経験で、震えと動揺が収まらずアタフタしてしまいました。するとプリセプターが「落ち着いて。忙しい中でも、何かおかしいなと気づいただけでも上出来。しっかりベッドサイドに行ってアセスメントしようとしていたね。」とおっしゃってくださいました。私はその言葉を聞いて、涙が止まりませんでした。Aさんが亡くなった悲しさの涙、私がしたことは間違っていなかったという安心の涙、何もできなかったという悔しさの涙だったと思います。自分がどうするべきか、どういう看護師にならなければならないのか様々なことを学んだ経験でした。

バックナンバー

2024.11.12 患者さんに寄り添うこと

2024.08.15 聞くという看護

2024.07.08 信頼関係を築く上で大切なこと

2024.06.11 産婦さんとの関わり

2024.01.11 足湯

2024.01.11 プリセプターからの教え

2023.12.01 術前訪問

2023.12.01 コロナ禍での看護

2023.10.30 患者さんから教えてもらったこと

2023.10.30 患者さんの望みを尊重した関わり