新人が語る心に残る看護場面
2019.02.21 嬉しい手紙
口唇口蓋裂で手術予定のAちゃんに挨拶しましたが知らんふりで、お母さんから人見知りだと伺いました。小学2年生だし手術のへの緊張もあるだろうと思いながらAちゃんの観察をしていると、リュックやタオルなどがキティちゃんだと気づきました。「キティちゃん好き?」とOPE説明用のホワイトボードにキティを書くと、「ミミイも書いて!」と初めて反応を返してくれました。その後もクールなのは変わらずでしたが、少しずつAちゃんとの距離が近くなっていきました。
術後、創部の感染予防のために含嗽が始まりましたが、Aちゃんはとても嫌がり布団にくるまってしまいます。理由を聞くと「苦いから!」と言うので薬とは別に水の入ったコップを用意して、2つ続けて含嗽するというルールを2人で決めました。「頑張ろうね!」と声をかけると「すぐお水ね!」と含嗽してくれるようになりました。
退院が近づき抜糸になったのですが、激しく嫌がり医師を蹴って布団に潜って大絶叫するAちゃん。抜糸は痛くないことや抜糸をしないと退院できないことも説明しますが「退院しない!」と怒るので、「じゃあ、ずっと入院だよ!」と私も怒ってしましました。少し時間がたって、ドキドキしながらAちゃんのところへ行き退院後の予定を聞くと「町内の夏祭りで焼き鳥を売る・・・」と小さい声で話をしてくれました。「そっか、楽しみだね」と、私は抜糸の話につなげることはできませんでした。
翌日出勤するとAちゃんの退院が決まっていました。準夜帯で大泣きしながら抜糸できたそうです。『本当によく頑張ったなあ』と嬉しくなり一番に会いに行くと、相変わらずクールに「はい」とお手紙をくれました。いつ覚えてくれたのか私の名前がフルネームで書いてあり、丁寧な字でお礼と夏祭りのお誘いが書いてありました。今もその手紙はロッカーに大切にしまっています。