新人が語る心に残る看護場面
2021.11.04 迷いながら
心不全で入院されていたAさんは、ナースステーションから離れた大部屋で過ごしていました。しかしある日を境に全身状態が徐々に悪化していきました。精査したところ、原因不明の白血病と診断されたのです。ベッドサイドやシーツは何度変えても、血がついてしまう状態でした。Aさんは毎日面会に来る奥さんがいました。私はAさんと奥さんにどんな声をかけたらよいのかわかりませんでしたが、奥さんにはAさんの日々の変化をお伝えしていました。私は悶々とした気持ちで、Aさんと奥さんに関わっていました。
ある日主治医から、奥さんに余命は残りわずかだろうということのICがありました。IC中、奥さんはずっと泣いていました。IC終了後、泣いている奥さんに「何かあったら、いつでも声かけてください。奥さんも辛いですよね。きちんと休まれてくださいね。」と声をかけました。奥さんは「毎日毎日、先生も看護師さんも本当によくしてくれました。病院の方々のおかげで私も覚悟ができます…。」と、泣きながらも私の目を見てお話してくださいました。その奥さんの姿を見て、私はAさんのために何ができるだろうと考えて関わってきたことは、無駄なことではなかったのかもしれないと思うことができました。
これからも患者さんのケアをどうしたらよいか迷ったり、とまどったり悩んだりすることも多いと思います。それでも患者さんとご家族がより良くなれるよう、考えて寄り添っていきたいと思いました。