新人が語る心に残る看護場面
2019.01.04 患者さんの行動
症状が悪化し、胃管や胸腔ドレーンを挿入することになったAさんは、ドレーン類への認識が低く自己抜去の可能性があったため、抑制具を装着していました。悪化する前は、自身で痰を出していましたが、抑制が行われてからは自分で自由に喀出出来ないため、「おーい!」と声をあげたり、抑制具をばたばた動かす様子が見られました。
ある日、Aさんを受け持ったときのことです。お昼の経管栄養後、歯磨きを終え臥床されていました。15時頃「おーい!」とAさんの声が聞こえて訪室すると、口をパクパクしていました。私は抑制帯が嫌なんだろうと思い、自分が側にいる間抑制具を外しました。それでもAさんは小さな声で何かを訴えます。「くち・・・ほしい・・・」と聞き取れたため、「痰を取りますか?」と聞くと首を振ります。『何がしてほしいのかな?』と考え、口の中を見ると舌が乾燥していました。「口の中が気になりますか?」と聞くと、Aさんは頷いたのでスポンジブラシで舌を湿らせたところ「ありがとう」と笑顔が見られ、その後は声を上げたり落ち着かない様子はなくなりました。
このことを通して、患者さんの行動には何か理由があり、特に抑制されている患者さんの行動は、感じている苦痛を訴えている可能性があるので、よく観てよく考え、苦痛を少しでもなくすのが大切だと感じました。