新人が語る心に残る看護場面
2018.10.05 不安な採血
何度も採血に失敗してしまい、採血することが本当に怖くなっていたある日、Aさんの採血を行うことになりました。しばらく高熱が続いていたAさんでしたが、やっと平熱に戻ってきた状態でした。何度も手順をおさらいし、先輩と一緒に伺いました。了承を得て、いざ採血を行いましたがうまく血管に針が入らず血液が引けません。先輩のアドバイスを頂き続けていたところ「あなたがやると痛いのよ。こっちはガマンしているのよ!」とAさんは声を上げました。
採血の片付けをしていると、「あなたの顔、とてもこわばっていたよ。こちらが不安に思っていると患者さんにも伝わってしまうよ。」と先輩が声をかけてくれました。そういえばいつも「患者さんも私じゃなければ、痛くないのにな・・・」と思っていたことに気づきました。学生の頃は自信を持つまで何度も練習して、それから手技を行うということを徹底していたのに、近頃は自信を持つことがありませんでした。
翌日、Aさんにあまり会いたくありませんでしたが、私の不安感や技術不足で痛い思いをしたのはAさんなので、素直に謝罪してから受け持たせていただこうと「昨日はすみませんでした。腕は大丈夫ですか?しびれたりしていませんか?」と声をかけると「大丈夫。次は痛くしないでね。」と笑って下さいました。
今の自分が何もできなくて毎日辛かったけれど、新人でも患者さんから見れば皆、看護師です。看護師が患者さんの不安を助長するようなことは出来ません。不安になったら声に出して確認して、落ち着いて、患者さんに不安を抱かせないように毎日を過ごしていきたいと思いました。