新人が語る心に残る看護場面
2023.10.30 患者さんの望みを尊重した関わり
左肺炎に罹患した人工呼吸器装着中のAさんについてです。
Aさんはベッドコントローラーを操作して体勢を整えることや顔回りを触れることなど、自力での体動があり誤抜去するリスクがあったため、両上肢ミトンと抑制帯を使用していました。Aさんは話せないことに加えて自由に身動きのできない苦痛によりミトンと抑制帯を装着することをすごく拒否され怒るようになりました。そこで、Aさんが抱く苦痛を少しでも軽減することができないかと思い、保清や体位変換の時に少しでも外す時間を作れるように関わりました。外した時のAさんの表情はすごく嬉しそうでしたが、ずっと見守ることができないため再装着しようとすると、嫌がって暴れるようになりました。先輩に関わり方を相談し、抑制類を使用している理由とどうすれば外して過ごせるのかを説明することや動く時の注意点を毎日のように本人へ確認し続けました。結果、抑制類や人工呼吸器の注意点の理解、ナースコールの要請ができ、少しずつ抑制類を外す時間を設けることができました。Aさんの表情は明るくなり、テレビを見ながら過ごすことや、何をしたいと文字で表すようになりました。
Aさんを通して、人工呼吸器を誤抜去するリスクがある患者さんであっても、可能な限り抑制類を外すことを考えるのが必要であると学びました。患者さんの性格や理解度、行動など個性に着目して、命を守ること・希望を尊重すること・苦痛の軽減に努めることの両面を考慮して関わっていきたいと思います。