新人が語る心に残る看護場面
2018.06.30 色んな理由
Aさんは全身に癌が転移し、治療困難で転院することになりましたが、ご家族の意向で転移があることはAさんに知らされないままでした。
AさんのADLは入院時自立していましたが、入院後、体動が困難なほどADLは低下していきました。日々、状態が悪化しているのが目に見えて分かりました。
ある日、Aさんは挿入されていたチューブ類を自分で抜いてしまいました。いつも、点滴のラインやチューブ類を気にされていたAさんだったので、私は衝撃を受けました。Aさん本人は、ご自身で抜いてしまったことも覚えていないということでした。その日からAさんの意識レベルはどんどん低下していきました。
次の勤務の時、Aさんの名前がありませんでした。先輩にAさんのことを聞くと「亡くなったのよ。」と。
私はAさんの受け持ちをさせてもらうことが多くありました。仕事の不慣れや忙しさを理由に、Aさんの話を傾聴できていなかったのではないか、もっとよい看護ができたのではないかと考えさせられました。色んなことを理由にせず、患者さん一人一人と向き合いながら看護をしていきたいと思いました。