新人が語る心に残る看護場面

2024.07.08 信頼関係を築く上で大切なこと

腎移植後のレシピエントであるAさんと関わりについてです。

 Aさんは腎移植術後、ICUから転入し病棟で術後管理をしていました。術後全身状態は順調に回復しているものの、創部痛が強く離床が進みませんでした。そのため「こんなに辛いと思わなかった。本当に良くなるのかな」と悲観的な発言が多く聞かれました。その際話を聞くことや、励ますことしかできなかったと私自身の中では悔いていました。その後Aさんは室内歩行するまで回復し、初めて歩いた時には「絶対に無理だと思ったけど、歩けるようになるもんだな。根気強く治療してくれたおかげだよ」と前向きな発言が見られるようになりました。その度に「よかったね」と回復を一緒に喜び合いました。

術後数カ月後、外来に来ていたAさんに偶然会い話をする機会がありました。その際「あの時は本当にありがとう。辛い時に手握って話聞いてくれたり、一緒に歩けるまで熱心に付き添ってくれたおかげだよ。」と言って頂きました。

Aさんとの関わりを通して「何もできていなかったんじゃないか」と無力感を感じていましたが、そばで話を聞くだけでも支えになれていたことを知り、回復を一緒に喜び経験を共有し合うことは患者との信頼関係を形成する上で大切なことなのだと感じました。患者さんの声に耳を傾け、信頼関係を築いていけるようにこれからもより良い看護をしていきたいと思います。

バックナンバー

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