新人が語る心に残る看護場面
2025.02.12 なにもできないじゃない
入職して3ヶ月が経ったある日。毎日自分のできなさと周りのできている状況に焦りを感じていました。できる先輩に看護される患者さんに対して私に看護される患者さんはまだまだ未熟で至らないところが多く毎日看護師のハズレを引いているのと一緒だと思っていました。自分でもできなさに悔しくなりますが、毎日なにより患者さんに申し訳なかったです。そんなある日、受け持ちの患者さんの面会時間になり、家族のもとへ案内。面会が終わってお迎えに行くと家族の方が私の名札をみるとものすごい笑顔で「いつもありがとうございます」と伝えてくださったのです。私は思い当たる節もなく、他の方と勘違いしてるのだろうと思っていましたが、「〇〇さんがいるから楽しいんだって言うんです。病院にくることも嫌がるのに。」と伝えてくださって思わず「え?」と声が出ました。特別何かをしたわけではありませんが毎日の会話が楽しかったようで、照れくさそうに「(部屋に)戻るぞ」と。できない私とも対等に会話してくださる患者さんに私は感謝しかありませんでした。むしろ救われていたのは私の方だったのにその一言は本当に嬉しかったです。技術と知識では至らない点は多くとも、毎日の何気ない会話が少しでも誰かを笑顔にできていたのかと思うと、なにもできないじゃなく、小さなことでもできることはあるのだと学びました。入職して1年経とうとしてる今、あの頃よりは少しだけ知識と技術が身についた気がします。あの一言を教訓に、知識と技術だけではなく、どんなに忙しくても笑顔だけは忘れない看護師でいたいと強く思っています。