新人が語る心に残る看護場面
2025.09.30 患者さんからの「ありがとう」
私は重症な患者さんをケアすることに、なかなか慣れず、何のために看護師になったのか思い悩んでいました。そんな時、術後呼吸状態が安定せず、人工呼吸器を装着した患者さんを受け持ち始めた時のことです。
患者さんはADLが全介助であり、清潔ケアにも介助が必要でした。また、長期間臥床していたため膝立てや腰上げもできない状態でした。難聴のため筆談にて会話をするときもありましたが、ペンを持つことも一苦労であり、なかなか意思疎通が図れないときもありました。少しでも患者さんのために何かできることはないかと思っていた私は、担当した日は必ず何かケアの予定を入れようと思いました。そこで、患者さんに積極的に声をかけ、手浴や爪切りなど自分ひとりでも可能なケアを行っていきました。
数週間経過した頃、まだ筆談をする力は弱いものの、精一杯「ありがとう」の文字を書いていただきました。普段から、ケアをした後に患者さんから「ありがとう」と言っていただくことはありましたが、声を出して会話することができず、ペンを持つことすら難しい患者さんが、その5文字を伝えるためだけに頑張ってくれたことが本当に嬉しかったです。
改めて看護師になりたいと思った時のことを思い返すことができ、これからも患者さん一人一人との関わりを大事にしていきたいと思いました。