新人が語る心に残る看護場面
2025.10.20 患者に寄り添う看護師を目指して
私は夜勤で80代の男性を受け持ちました。その患者さんは、身よりがなく一人暮らしをしていました。腰痛を引き起こす疾患により日常生活が苦痛となり、生きる意味を見失っていました。
朝の検温時、患者さんから散歩がしたいと言われました。朝の忙しい時間だったため一瞬、戸惑いましたが、勤務交代の直前であれば少し時間が取れるかもと思い、時間を調整しました。わずか10分ほどの時間でしたが、病棟内を一緒に歩行しました。患者さんは自身の身の上や、つらかった時の気持ちをありのままに話してくれました。散歩の最後には「こうやって話を聞いてくれたのは、あなたが初めてだ。ありがとう」と深々と感謝を伝えてくれました。この出来事は、私が本来、看護師として実践したかったことを実現できた場面のひとつだったように思います。患者さんのやりたいことや訴えに応えられるよう最大限に配慮することによって、患者さんの精神的ケアに関わることができたと思います。
忙しい病棟でも患者さんに接する時間を調整して、自分なりの関わり方で患者さんの心に寄り添えたことが、自身の看護観を高める経験のひとつになったと思います。
この経験を忘れず、常に患者さんの訴えに応え、寄り添う看護師になりたいです。