私たちのめざす看護
私たちの看護
2026.04.24
その人のできる事に目をむけて
日本の平均寿命は世界1位が続いています。そして、認知症の有病率も世界1位443万人(2022年)であるということです。そのため我が国も2024年1月認知症基本法という法律が施行されました。でも認知症は「最もなりたくない病気」と言われています。
70代のAさんは内科の通院中に認知機能の低下が疑われ、認知症検査を本人希望で受けたものの、当日「私が、こんな検査受けるなんて」と怒って途中帰ることや、がんの検査でも「治療したくない。何もしなくていいです」、「やっぱりやりたい」と言動が二転三転する、医療者から見たら困った患者に映りました。しかし、MSWやがん化学療法看護認定看護師と情報共有しながら認知症看護認定看護師としてAさんと会話を繰り返すなかで「兄ががんで苦しんだから怖い」「自分は画家で仕事が生きがい」「おしゃれは好き」「やっぱり死にたくない」などその場、その場でAさんにとっての大事な理由があり選択していたことがわかりました。認知症により記憶が曖昧になることも自覚しメモをとり、それを後で見返すことができていました。そんなAさんに数回の抗がん剤治療で「治療はもう嫌」という気持ちを病棟看護師が汲み取り、在宅で過ごせるよう薬剤調整や、在宅のサービスを整えました。訪問看護師にはAさんのできること、大切にしている事を情報提供し、本人の望む形で最後を送ることができたことは私にとっても大事な経験になりました。
認知症看護は観察力と想像力だと思います。認知症だから正しい判断ができないのではなく、言動・行動の奥の理由を考えていきたいです。その人の「できる」ことに目をむけ、残された能力を使い続ける方策を探っていきたいです。その先の素敵な笑顔にこちらもとても癒されますし、その経験を皆さんにも味わってもらえるよう、病棟スタッフとも関わっていきたいです。認知症は私を含め、誰でも可能性があります。認知症になっても安心な社会システムの中のひとつの病院として優しい看護を目指し成長し続けたいです。
認知症看護認定看護師 西山郁子
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