新人が語る心に残る看護場面
2019.11.29 ちょっとした一言で
私がICに同席したときの出来事です。Cさんは入院中に状態が悪化し、急遽医師から家族へ今後の方針についてICをし、DNARの方針となりました。IC中、ご家族は医師の話を涙ぐみながら聞いていました。Cさん自身は言葉を発することもできず、意識状態も低下していたためCさんの意向は確認できません。私はご家族だけでこの選択をするのは、とても心苦しいことだろうと感じていました。私自身、状態が悪化しDNARの選択肢を提示するICに同席したのは初めてでした。このような時、家族になんて声をかけたらよいのか、家族は本当に同意したうえで同意書にサインをしているのか、など色々なことを考えていました。
ICが終了し家族が退室した後、私は「大丈夫ですか。今すぐにどうこうというわけではなく、いつそうなってもおかしくはない状況ということなので。面会に来られる時には来ていただいて、Cさんに声をかけてあげてください。」と、今私が言える言葉をご家族にかけました。ご家族は私が「大丈夫ですか。」と声をかけた瞬間に泣き出してしまい、私はその時声をかけなかったほうが良かったのではないかと思いました。ご家族は「急だったので、びっくりしました。こうなるのはわかってたんですけどね。」と涙を流しながら話してくださいました。それから数日後、私は面会に来たご家族に呼び止められました。「あの時はありがとうございました。救われました。」と声をかけてくださったのです。私はあの時「声をかけないほうがよかった」と後悔していましたが、家族にこのように声をかけていただき、間違っていなかったんだなと思えました。このように看護師の言葉かけ一言で、ご家族の患者さんを支える心を強くすることができると学んだ体験でした。