新人が語る心に残る看護場面
2020.01.23 患者さんが教えてくれた
入職して2ヶ月経った頃に受け持ったBさんのことです。Bさんは状態が悪くなり、重症部屋に移動となり受け持つ機会が増えました。入職して間もなく知識も経験も浅かった私は、重症部屋を受け持つことにとても不安を抱いていました。
呼吸状態が不安定な日々が続き、患者さんはNPPVをつけることになりました。保清をするとかなり苦しそうにし、「ごめんね。ありがとう。自分が情けないよ。ありがとう。ありがとう。」と大粒の涙を流していました。私は「そんなことないですよ。」と言うだけで、他になんて言葉を返したらいいのか、どう寄り添ったらいいのかわからず、ただただ体を綺麗にするだけで悔しい気持ちでいっぱいでした。
数日が経ち、私が日勤でBさんを受け持った日、モルヒネの投与が開始になり少しずつ呼吸状態が悪化していきました。夜勤に引継ぎをし、プリセプターとその日の振り返りをして帰宅しました。
翌朝、出勤するとBさんは亡くなられていました。師長さんと出棺へ行き、涙を流しながらBさんとご家族を見送りました。前日に書いた振り返りシートを見ると、プリセプターさんから「○○さん(私)が帰った後、Bさんはお亡くなりになりました。Bさんの奥さんは、Bさんに「新人さんの受け持ちをやめてもらおうか?」と聞いていたみたいです。だけどBさんは「あの子たちのためになるなら、このまま受け持ちを続けてほしい」と言っていたことを奥さんから聞きました。」とメッセージがありました。Bさんは日々、苦しさと戦っていたにも関わらず、そのような思いをもっていただいたことを知り涙があふれました。
技術も知識も浅い新人に人生の重要なタイミングに立ち会わせていただき、本当に感謝しています。患者さんが安心して入院できるよう、どんな場面でも責任をもって対応できる看護師になりたいと思いました。