私たちのめざす看護
私たちの看護
2009.12.02
看護学生から教えられたこと
看護学生のAさんは、慢性期の患者さまのBさんを担当していました。Bさんは 倦怠感が強く会話もままならず、夜間は睡眠薬の力を借りなければ眠れない 日々。昼間ベッド上でうつらうつらと過ごす時間が多く、たまに目をあけても窓 辺からのぞく空と白い天井が彼女の世界のほとんどでした。
そんなBさんに「気分転換できる何かをしてあげたい」と看護学生のAさんが計 画をしたのが就寝前の足浴とアロママッサージです。普段病棟に常備してあるアロマオイルがヒントになったよう です。夜間実習のある夜、Bさんのもとに足浴と数種類のアロマオイルを用意し、お湯に数滴ラベンダーオイルを 入れた瞬間、香りが柔らかく立ち上りBさんの心も解きほぐしたようです。時折みせるはにかんだ少女のような笑 顔でぽつりぽつりとご自身の身の上をお話してくださいました。足浴の後、アロマオイルでフットマッサージを行 うとBさんはうとうとしはじめ、その夜は初めて睡眠薬を飲まずに眠ることができました。それはまさしく看護学 生の患者様に対する看護の力だと思います。
看護学生のAさんは受け持って二週間目にしてようやくBさんの心に寄り添ったケアができたと実感したようで す。そして私たちは、看護学生から、ケアには「慈しむ心」があるからこそ看護は力を持つことができると教えら れたような気がしました。
D5病棟
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