私たちのめざす看護

私たちの看護

2013.06.05

呼吸とともに生きる

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていました。 喫煙や粉塵などが主な原因と言われています。2013年度から開始される「健康 日本21(第2次)」の中で「生活習慣病の発症予防と重症化の予防」としてが ん・循環器疾患・糖尿病とともに新しく慢性閉塞性肺疾患(COPD)が含まれる ことになり、国としても対策を進めています。私は呼吸器センターに所属して、 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息、肺炎や間質性肺炎など呼吸器の病気 をもつ患者さんと関わっています。
例えば入院中の患者さんを対象に、身体を動かした時にどのくらい肺や心臓に負 担がかかっているか確認する検査をすることがあります。患者さんの指に脈拍と 酸素の運び具合を調べる機械をつけ、患者さんに6分間歩いて頂きます。息苦し さを測る指標があり、歩いている時にどの程度息苦しさがあるのか数値で答えてもらいます。そのように数値化す ることで、自覚症状だけではわかりにくい肺と心臓との関係や、動く時の呼吸法や動き方の工夫をすることで肺や 心臓への負担が減ることなどについて説明しています。数値で示すことで患者さんやご家族からは、「息苦しくな る前から肺や心臓に負担がかかっていることや肺と心臓が密接につながっていることを改めて理解できた」という 言葉が聞かれています。 呼吸器の病気をもつ患者さんの中には、在宅酸素療法という自宅で酸素を使う治療をする方もいます。今までの生 活には無かった、「酸素を使う新しい生活」への不安を減らせるように、患者さんに書いてもらった自宅の間取り を参考に患者さんやご家族と一緒に自宅での生活をイメージしながら酸素を置く場所を考えたり、患者さんが過ご す部屋を考えたりしています。また、息切れがある患者さんへの食事の工夫や体調を崩した時の観察方法や対処法 を伝えることで、早期に受診・対応できるように説明しています。呼吸器の病気は、「苦しい」という辛い症状が あります。呼吸法を説明したり呼吸介助を行なったりすることもあります。「不安」という部分に焦点をあてて患 者さんやご家族の話を聴くなど不安を減らすことができる工夫をしています。時には、自宅でも医療の相談や介護 ができるように訪問看護や訪問介護など在宅サービスを提案することもあります。
呼吸困難という症状は活動を制限してしまいます。その中でも症状をやわらげ、患者さんやご家族がその人らし い納得した生活ができるように、今後も患者さんやご家族と一緒に工夫していきたいと思います。

慢性呼吸器疾患看護認定看護師 小林 望

私たちの看護 最近の記事