私たちのめざす看護
私たちの看護
2016.06.20
心不全増悪回避・予防のためのセルフケア支援
心不全は慢性疾患であり、再入院を繰り返す患者さんが多くいます。心不全は 増悪を繰り返すことで病状は進行してしまいます。「また来ちゃった、ごめん ね」と恥ずかしそうに言う患者さんに何人も出会ってきました。そんな患者さん たちが入院を繰り返すことなく元気に過ごすために、看護師が出来ることをもっ と学びたいと思い、2013年に慢性心不全看護認定看護師の資格を取りました。
心不全が増悪する要因は様々ですが、塩分や水分制限の不徹底、感染、過労、 治療薬服用の不徹底など、生活習慣の改善やセルフケアで回避できる問題が多く あります。しかし「あれはダメ」「これはダメ」と口で言うのは簡単ですが、実 際の生活で守ることが難しいこともあります。
例えば「塩分は1日6gです」と入院中は栄養士がバランスのとれた減塩食を提 供しています。しかし、自宅で塩分6gの献立を考え調理することは大変難しいこ とです。塩分は「塩」だけを考えれば良いのではなく「醤油」や「ソース」などの調味料、もちろん食品の中にも含 まれています。病棟では患者さんが具体的にわかりやすいように、食品別に含まれる塩分量の目安や、加工品を減 らすこと、酸味や香辛料で味付けをすること等、塩分を控える工夫についてパンフレットを用いて説明していま す。現在販売されている食品の多くには「栄養成分表示」が記載されているため、食品に含まれる塩分量がわかり ます。しかし「ナトリウム量=食塩量」ではありません。「ナトリウム量×2.54=食塩量」になります。注意が必 要なポイントです。また、週1回管理栄養士による減塩教室を開催しています。患者さんだけではなく、実際料理 をするご家族の方にも参加を促し、減塩について周りの支援体制も強化できるように工夫をしています。
慢性疾患はずっと付き合っていかなくてはならない病気です。どうやって生活の中に組み入れるか、患者さんや ご家族と一緒に考えていくことが大切だと思っています。患者さんやご家族が、今までどんな生活を送ってきたの か、この先どう過ごしていきたいのか、何を大切にされているのか、お話を聴きながら、患者さんがその人らしく 生きられるように、他職種とも連携し支援していきたいと思います。
慢性心不全看護認定看護師 伊藤百合子
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