私たちのめざす看護
私たちの看護
2019.03.27
忙しくても楽しく、患者さんの姿に励まされる病棟
B3西病棟は消化器外科の病棟で生体肝移植も行っています。
数年前に当病棟にて生体肝移植を受けた患者さんのAさんは、移植をして体調が回復したら「働きたい、社会貢献したい」という思いがあり、家族から肝臓を提供され手術を行いました。手術前Aさんは倦怠感も強く、腹水も多量にあったことから一人では体動困難な状態でした。10時間を越える手術を受けるため、医師からは体力を落とさないように言われていました。私たちはAさんの状態に合わせながら一緒に病棟内の歩行訓練を行い、車椅子に乗っている時間を増やすなどしました。体を動かすことが大変な時期であったのに「今日は○周歩けた。明日もがんばる」と前向きな姿を見せてくれました。手術後はICUでの全身管理を経て5日目に病棟に戻り、「帰ってきました。またよろしくね。」と元気な笑顔が見られました。術後はドレーンが多数挿入され、輸液ポンプを約6台付けながら看護師2~3人で離床援助しました。術後は痛みを感じながらも「頑張って歩く、早くよくならなきゃ」と手術前と同様に前向きでした。そのため私たちも苦痛を最小限にし、離床することが嫌にならないように援助し、術後1週間程度で一人で歩行できるようになりました。術前は一人で歩くことも困難だったAさんが移植を受け、一人で歩くことができるようになった姿を見たときには本当にうれしく思い、スタッフ皆で喜びました。術後は離床だけでなく、感染症にかからないように注意したり、免疫抑制剤の内服管理も重要になるため、退院に向け自己管理の指導を行いました。日常生活の面においても術後数年は様々な制限が必要になってきます。Aさんは飼い猫を手放すことに対する喪失感がありましたが、家族から提供された肝臓という事や、元気になって働きたいという思いとの葛藤が強く見えていました。移植後の日常生活において自己管理の重要性を説明するだけでなく、看護師、医師、薬剤師、移植コーディネーターなど多職種で情報共有しAさんの思いを理解しながら退院に向けた支援を行いました。退院後は何度か入退院を繰り返していましたが、外来受診の際に病棟にも顔を見せにきてくれて「今は働いているの。」と笑顔で報告に来てくれました。Aさんが目標としていた社会貢献が実現でき、それに私たちが関われた事に喜びを感じました。生体肝移植術後は点滴や、ドレーン管理、全身管理が細かいため大変な事も多いですが、患者さんの頑張る姿や退院後元気に生活している姿を見ることができた時にはやりがいを感じます。
これからも患者さんの思いを大切にし、安心した日常生活が送れるように支援していきたいと思います。
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