私たちのめざす看護
私たちの看護
2019.10.17
「緩和ケアチーム」として患者さん、ご家族を支援します
当センターには、緩和ケアを専門的に提供している、医師、看護師、薬剤師、心理師、リハビリ療法士などで構成されている緩和ケアチームがあります。悪性疾患を中心とした、痛みや吐き気、息苦しさなどの身体のつらさや、がんと診断された時から抱える不安など気持ちのつらさに対して、出来る限りの症状緩和を目指して、緩和ケアチームと主治医、外来・病棟看護師など、多職種と連携を行いながら緩和ケアの提供を行っています。
痛みのコントロールで緩和ケアチームに介入依頼があったAさんは、痛みと吐き気、貧血で動けず1日ベッド上の生活をされていました。当初は、「もう自分は長くないと思う」と話され、生きる意欲や希望を語ることはありませんでした。私は毎日病室に訪室し、まずは身体的な苦痛緩和を優先に薬剤調整を行いました。少しずつ関係性を作りながら、Aさんのこれまでされてきた仕事や人生、家族との思い出などを教えていただきました。そしてAさんが今一番大切にしたいこと、考えていることを伺うと、「少しでも自分で自分のことをできるようになりたい」「起きて座れるようになりたい」と話されました。病状としてこれ以上回復していくことは厳しい状況でしたが、Aさんの思いを大切に、できることを一緒に考え、希望を持って1日1日が過ごせるように、緩和ケアチームのリハビリ療法士と連携しベッド上でできるリハビリを開始しました。また病棟看護師とAさんの思いを共有し、ベッド周囲の物の配置を工夫したり、痛み止めを使用するタイミングなど一緒に考えながら、Aさんの希望を支える関わりを行いました。時に体調がすぐれずにリハビリはできない時もありましたが、医療者が毎日一緒に希望を共有し関わることで、「ありがとう」と穏やかに過ごされる時間も多くりなりました。その1か月後Aさんは永眠されました。亡くなった後、毎日付き添っていたご家族は「毎日皆さんが来てくれることを、本人も家族も楽しみにしていました。元気をもらっていました。ありがとうございました」と話されました。
患者さん1人ひとりの生きて来られた人生を知り、患者さんらしく最期まで生きることを支える看護ができるように、これからも丁寧に取り組んでいきたいと思います。
緩和ケアチーム専従看護師 福島 里子
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