私たちのめざす看護
私たちの看護
2020.06.05
声にならない患者の訴えを逃さないために
「集中ケア認定看護師」って何だろう?おそらく初めて耳にされる方は、どんなことを行っている看護師なのか想像しにくいのではないでしょうか。
求められる役割として、「生命の危機的状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防と二次合併症の予防。および回復のための早期リハビリテーションの実施。」が主にあげられます。
現在世界中で猛威を振るっているCOVID-19ですが、重症な方の治療として人工呼吸器やECMO(エクモ:体外式膜型人工肺)が用いられていることは、多くの報道で周知のことと思います。この人工呼吸器やECMOなど、多くの医療機器の手助けがないと命を維持することが困難な患者さんに対して、機器のモニタリングや直接患者さんに触れて得られる情報(フィジカルアセスメント)を通じて病態の変化を予測し、重症化や二次的合併症を最小限にするために、患者さんにあったケア、リハビリテーションの提供やスタッフへの助言を行うのが「集中ケア認定看護師」です。また「集中治療を必要としている患者さんがどのような状況にあるのか」、「使用されている高度医療機器はどこに注意すべきか」など、集中治療を行う上で必要となる知識や技術を、ケアの実践や勉強会を通じてスタッフに伝達し、ICU看護の質の向上・維持にも努めています。
院内には現在3名の集中ケア認定看護師がいます。私はICU所属ですが、他の2名は一般病棟に所属し、各病棟での急性期看護、フィジカルアセスメント能力の向上に努めています。また3人で月に2度集まり、一般病棟で人工呼吸器を使用している患者さんを訪室しています。療養環境の確認や人工呼吸器管理が安全に行われているか、病棟スタッフが抱いている疑問点などはないかなどを確認し、患者さん・スタッフが安心できるように活動しています。さらには救急看護認定看護師、急性・重症患者看護専門看護師と連携し、月に1度の合同会をはじめ、院内における勉強会の開催や予期せぬ急変症例におけるカンファレンスの実施なども行っています。
最後に、集中治療を受ける患者さんの多くは人工呼吸器を使用し、鎮静剤や疾患により「痛い」「苦しい」などの思いを声に上げることが困難な状況にあります。その声にならない患者の思いをいかに汲み取り、治療やケアに還元していけるか。とても難しいですが、とてもやりがいのあるケアをICUスタッフ全員で実践しています。
集中ケア認定看護師 萩 亮介
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