私たちのめざす看護
私たちの看護
2024.05.20
看護師間のつながりを大切に
私は、放射線治療室で、専従看護師として勤務しています。
放射線治療室で行われている治療は、様々ながんの治療法の1つになります。
がんの治療法は、集学的治療といって、1つの治療法を選択するのではなく、手術療法や化学療法、放射線治療を組合せた治療方法の事です。そして放射線治療の目的は、①がんの根治②再発・転移の予防③症状緩和です。どの目的であっても、放射線治療をする場合は、毎回同じ部位に照射をするために「照射中に同一体位を保持し、15~20分静止できること」が大切になってきます。そのため静止時の体位が少しでも楽になるよう、放射線治療準備の時に放射線技師がマットの使用や枕の高さ、そして膝枕の使用有無を患者さんに確認をしながら調整しています。
今回は肺がんの胸椎転移があり、疼痛緩和目的で放射線治療が始まったAさんの事例をご紹介します。Aさんは放射線治療が始まる前から朝・夕決まった時間にオピオイドを服用し、体動時は、臨時に即効性のある鎮痛薬(以下レスキュー)を使用していました。Aさんは、少し緊張した面持ちで、放射線治療の準備をおこなう部屋に入室されました。室内でスタッフと談笑されていたAさんでしたが、治療台に臥床する際には苦悶様顔貌になり、『うっ』と声が漏れ出ていました。枕等を調整しても辛そうな表情は変わりませんでしたが、『大丈夫』とおっしゃられ、準備がすすんでいきました。
私は疼痛コントロールが不十分と判断し、緩和ケア認定看護師に相談をしました。すると照射前のレスキューを増量する方針となり、治療時間、移動方法等、病棟看護師と調整を試みました。しかし、Aさんの辛そうな様子に改善はみられず、再度、緩和ケア認定看護師に相談し、非ステロイド性鎮痛剤を放射線治療の30分前に投与することにしました。すると治療に来られたAさんの顔に笑顔が見られ、「少し痛いけどね」と笑いながら話され、放射線治療を完遂することができました。
このように疼痛コントロールに関しては、放射線治療室のみで完結できる問題ではありません。看護師の横のつながりを大切にし、病棟看護師や緩和ケアチームの緩和ケア認定看護師と連携をはかり、少しでも患者さんが苦痛なく、治療が行えるよう疼痛コントロールについて相談をし、情報を共有しています。
今後も患者さんの治療を完遂できるよう支援するために、病棟や多職種との連携を大切にしていきます。
がん放射線看護認定看護師 浅井 まな美
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