新人が語る心に残る看護場面
2018.06.30 初めての入院
緊急入院のAさんにとって入院は初めてのことでした。訪室すると痛みが強く、ずっと眠れていないとのことでした。私がアナムネーゼをとりながら入院について説明していきましたが、表情は固いまだったので「治療や経過について不安なことはありますか?」と尋ねると、「初めてで何も分からない」「どうしてこんな入院になってしまったんだ。どうしたらいいんだ。」と焦ったように返されました。
私はAさんの不安が大きいことは当たり前なのに、まるで入院して治療するのが当然のように説明してしまったことを反省しました。Aさんは近医で「これは入院が必要だ。紹介状を書くから、すぐに行きなさい。」と言われただけで、詳しい話がないまま来院されたことも後で分かりました。
私はAさんの不安や疑問を解消して治療に向かってほしいと思い、自分が勉強してきたアンチョコを見せながら、治療や看護・経過についてお話ししていきました。「そうだったのか!昨日までは冷やしていたんだよ。」「今はこうだけど、だんだん良くなって行くんだね。仕方ないね。」と納得された様子でした。
翌日からも分からないことをAさんが尋ねてくれるようになりました。退院が近づくと「おかげさまで安心して入院していられたよ。ありがとう。」とAさんが伝えて下さいました。患者さんの症状だけでなく、精神的負担にも親身になって関わる必要があるのだと思えた出来事でした。