新人が語る心に残る看護場面
2018.08.01 声をかけられて
自宅退院を目指していたAさんは、術後、ADLが著しく低下してしまい転院も考えなければならない状況でした。毎日臥床がちで、机の上のTVリモコンなど起き上がれば取れるものも、ナースコールを押して人を呼ぼうとします。看護師たちは退院に向けて自分のことが出来るようになって欲しいと関わりを続けましたが、Aさんは「疲れる」「どうしてそれくらいの事もしてくれないの?」と動き出してはくれませんでした。
ある日の病棟内歩行練習の時、いつもの“嫌がりながら”のAさんでしたが、歩き始めた際に同室の患者さんから「今日も頑張ってね!」と声をかけられました。普段臥床していることが多く、同室者と関わることが少ないAさんは「ありがとう」と嬉しそうに答えるのでした。廊下に出るとすれ違う看護師たちに「頑張って!」「随分歩けるようになりましたね!」と声をかけられ、その度にAさんは笑顔になっていきました。その様なことが続くと、積極的にリハビリをし、身の回りのことを自分でやり、同室者とも楽しそうに話すAさんの姿が見られるようになりました。その後ADLも改善し、歩いて退院することができました。
特別な看護ではないけれど、看護師や同室者などの関わりの一つ一つが患者さんの回復に繋がるのだと感じました。