新人が語る心に残る看護場面

2018.09.03 先輩のような看護師に

COPDによる呼吸状態悪化でICUに来たAさんは、SpO2が70%台まで低下しても笑顔で「大丈夫」という方でした。ICUはオープンフロアなのでストレスの蓄積も大きいと思い、「個室の方へ移動しませんか?」と提案しても、「ここで大丈夫です。」との事でした。
ある日、AさんのSpO2低下によるモニターアラームが頻回になりました。Aさんは「苦しくないよ。今、酸素はいくつなの?」とSpO2値を聞いてきました。私はすぐにSpO2値と呼吸苦の有無を観察し、カルテに入力していました。すると先輩がアラーム設定を変更し、Aさんの手を握っていました。
業務が終わって先輩は「Aさんはだんだん呼吸が苦しくなってきているのが分かっていて、きっと自分はそろそろ死んでしまうのではないかと恐怖も感じていると思うよ。だから、個室に移動することも拒んでいるのだと思う。今日もアラームが鳴って不安だったと思うよ。そういう時は手を握ったり、傍にいるだけでも安心するかもしれないね。」と話してくれました。
私は自分の行動を振り返り、しっかりと患者さんに寄り添えてなかったな、看護が出来ていなかったなと気づかされました。私もその先輩のような看護師になりたいと思い、また、看護の力のすごさを感じました。

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