新人が語る心に残る看護場面
2018.10.05 日々の関わり
脊髄損傷で気管切開を行ったAさんは身体を自由に動かすことが出来ず、さらに声を失いストレスが溜まっているようで、「死にたい」「いっそ殺してくれ」と口パクで伝えてきました。それでもご家族がいらしている時には楽しそうな顔をしていたので、『本心ではないのかな』と思っていました。また、Aさんの希望を少しでも叶えられるように関わっていけば、Aさんの気持ちにも変化があるかもしれないとも思いました。そこで、口パクを一生懸命読み取り、身体の向き、空調や照明の明るさなど、Aさんの希望に添うようにケアを続けました。
全身状態が落ち着いてきたある日、発声できるカニューレに交換することになりました。交換後、他の看護師が「Aさん声出してみて」と言うと、Aさんは首を横に振りました。その後ベッドサイドで「声を出すのは久しぶりなので、怖いと思います。ゆっくりやっていきましょうね。」と声をかけると、「いきなりしゃべってと言われてもね。怖いんだよ。分かってくれてありがとう。」と小さなかすれた声で言ってくれました。
今回のことで、患者さんとの日々の関わりが信頼関係を作る場面であり、私たちが気をつけていかなければならないことだと感じました。