新人が語る心に残る看護場面
2019.01.04 患者さんが主語
ストマ造設術を受けたAさんはADL拡大に向け、毎日リハビリを頑張っていました。ある日「今日はリハビリ頑張ったよ。5周は歩いたんじゃないかな。」とAさんは嬉しそうに話しかけてくれました。「頑張ったから、汗かいたんじゃないですか?」と声かけすると、「そうですね。少し汗をかいたかも。」とAさんは言いました。いつもなら「お疲れ様でした、ゆっくりしてくださいね。」と病室に戻るのですが、“体拭きは毎日しているけど、洗髪はいつだったかな?”と思いました。「髪を洗ってさっぱりしませんか?」と声をかけると「え?洗ってくれるの?」と満面の笑みのAさん。しかし「でもいいや。そんなにいっぱい汗かいたわけじゃないし。」と遠慮がちになりました。いつもバタバタしているから気を遣わせているのかもしれないと思い「頑張ったから、さっぱりしましょう!」と再度声かけすると「いいの?シャンプーはそこにあるの」と笑顔に戻り、洗髪しました。「ひゃー、さっぱりした」と笑顔で、お部屋に戻った後も「洗ってくれてありがとう。本当にさっぱりした。よかった。」と言ってくださいました。
いつも自分が主語になってしまい、患者さんを主語としたケアがなかなか出来ず悩んでいた私にとって、Aさんからの笑顔が嬉しく、初めて患者さんのために何か出来たように思えました。「こうしてほしい」「本当は不安だけど、忙しそうだし話しにくいな」など、患者さんが表出できない思いに寄り添うためには、忙しい中でも患者さんを主語に考える時間を意図的に作ることが大切だと実感しました。こうした経験が患者さんへのより良いケアにつながり、看護師としての自信にもつながっていくのだと思いました。