新人が語る心に残る看護場面

2019.01.04 患者さんの安全と苦痛

急性胆管炎で入院されたAさんは、元々お一人暮らしの方でしっかりした方でしたが、急な入院とご高齢のためか治療に必要なチューブ類の理解ができず、自己抜去するリスクのため、抑制具を使用し始めました。すると抑制のストレスからか、連日、せん妄になり大声を出したり抑制帯を外そうと大暴れの日が数日続きました。
私が受け持ったのは、チューブ類が抜去できるか判断する検査が予定された日でした。検査着に着替えるために抑制を外すと「やっとスッキリしたわ。」と笑顔で話されましたが、検査まで時間があるため再度、抑制具を着けようとすると「やめてよ。何でそんなことするの!」「チューブがここに入っているんでしょ。分かってるわ。みんな私を苦しめて!」と声を上げました。私はリーダーさんに相談し、抑制はせずこまめに訪室し、自己抜去予防に努めることにしました。Aさんは「テレビが見たいわ。これ(抑制具)してると、自由に見れないんだもの。」と検査までの間ゆっくりと過ごされ、検査の結果、チューブ類は全て抜去となりました。数日後、Aさんのところへ食事を持って行くと「今日もとっても美味しそう。ありがとう。」と笑顔で、ご飯を召し上がっている様子を見て、私は何だかホッとしました。
患者さんの安全を守るための抑制であっても、必要性を理解できないAさんにとっては苦痛以外の何ものでもありません。患者さんのそばに寄り添い、抑制の必要性をその都度アセスメントすることが大切だと実感しました。患者さんの病状や思いは日々変わっていきます。患者さんにとっての安心・安全で快適な生活とは何かを考え、関わっていきたいと思いました。

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