新人が語る心に残る看護場面
2019.04.30 自分に返ってくること
9月後半に切迫早産で入院されたAさんとは受け持つ機会が多く、たわいもない会話もできていましたが、入院期間が長期化するにつれ表情も暗くなり、ストレスが溜まっているように私は感じました。そんなAさんに「私は何ができるのだろうか」と日々受け持つ中で考えるようになりましたが、答えは見つからず、いつも通りの看護ケアを行っていました。
それでも、状態が安定すると「またすぐに来ます。そのときはよろしくお願いします。ありがとうございました。」とAさんは目を真っ赤にして退院されました。私は何もできなかった自分に対して“ありがとう”と言ってもらえたこと、“お願いします”と頼ってくれたことに、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちで涙が出そうになりました。
それから3日後、再入院され元気な赤ちゃんを出産されました。翌日、勤務だった私はすぐにAさんに会いに行きました。私が“おめでとうございます”と声をかける前に、面会にいらしていたAさんのお母さんやご主人に「本当にあのときはたくさん色んな事をしていただいてありがとうございました。」と言われ、Aさんには「無事に生まれました。本当にありがとうございました。赤ちゃん見てくださいね。」と言葉をいただきました。妊娠~産褥期を通して妊婦さんと関わる事で自分の看護を振り返り、自分が行ったことは患者さんや家族を通して“評価”として自分に返ってくるものだと学び体験することができました。