新人が語る心に残る看護場面
2019.11.29 患者さんから励まされて
Aさんを受け持ったのは、入職してから3か月ほど過ぎたことでした。その時期は患者さんの点滴交換やバイタルサイン測定にも緊張しており、初めての業務ばかりで慣れない日々を過ごしていました。
Aさんは癌が転移しており、手術や化学療法が難しい状態で高カロリーの輸液や輸血を行っていました。Aさんの入院は長期化し、私は何度も受け持たせていただきました。
Aさんは私が新人だとすぐにわかり、「採血でも点滴でも、なんでも練習台になるよ。」、「緊張してるでしょ?」、「輸血ももう何回目だから、慣れたんじゃない。」とたくさん声をかけてくださいました。毎日緊張している日々を過ごしていた私にとって、Aさんとの関わりは励みになっていました。
今思うと、Aさんは入院が長期化したくさんの不安があったろうと思います。その中で私に笑顔で声をかけてくださったこと、緊張をほぐしてくださったこと、励ましの言葉をくださったこと、すべてに感謝しかありません。本来ならば、患者さんを励まし、不安を少しでも減らすのが看護師の私の役割です。しかし反対に、私がAさんに励まされていました。まだ未熟で、患者さんとコミュニケーションをとることが難しいと感じることも多いですが、Aさんが私を励ましてくれたように、患者さんが私の言葉で少しでも元気になって下さるように関わっていきたいと思いました。