新人が語る心に残る看護場面
2020.04.09 患者さんが教えてくれたこと
病棟に配属され、すぐにAさんと出会いました。Aさんはとても明るく、気さくに話しかけてくれる方です。配属直後の私は一つの援助を行うだけで精一杯で、援助以外のことに目を向けることができていませんでした。そのためAさんからは「今、私の靴を蹴ってしまったでしょ。そういうところに気付かないといけないね。」「患者さんへの言い方も大事だからね。」というように、私が担当になった時には何度も私の行動・言動に対して、指摘や注意の言葉をいただきました。しかし、Aさんはいつもその言葉の後に「私はあなただから言うんだよ。」とおっしゃっていました。私はAさんとの関わりの中で、私がいかに患者さんの周囲の状況が見えていないかを自覚することができました。また私が考えている以上に、患者さんは看護師の行動・言動を見ているのだ、ということにも気づかされました。
入職して半年ほど経ち、Aさんが再入院されました。久しぶりに会ったAさんが、「いい笑顔ができるようになったね。看護師らしくなってきた。今はもう、看護師に見えるよ。」と声をかけてくださいました。その頃私は、自分が看護師として成長しているのか自信が持てずにいました。Aさんの言葉に励まされ、自分の成長を感じてうれしくなりました。
Aさんとの関わりで、誠実さをもって患者さんと接することの大切さを学びました。入職して間もない時期に、Aさんのような患者さんと出会えて本当に良かったと思いました。