新人が語る心に残る看護場面
2020.06.05 好きなもののために頑張れる
くも膜下出血後、嚥下障害があるCさんについてです。Cさんは痰の量が多く、口腔内の環境を整えながら、嚥下訓練を始めたばかりでした。とろみをつけたお茶を「おいしくない。」と話しながらも、経管栄養ではなく口から栄養摂取できることをうれしそうにしていました。しかしむせてしまうことが多く、もっと食べたいのに食べられない現実に気分が落ち込んでいく様子を目にすることが多くなりました。そこで「食べる」ということに対して希望や目標をもって嚥下訓練をしてほしいと思い、食事や好きな食べ物について話をしてみることにしました。すると「好きな飲み物はコーヒーだよ。」と笑顔で話してくださいました。先輩看護師や医師へコーヒーを飲むことは可能か相談したところ、「1日1杯なら」という限定ではありましたが、許可を得ることができました。このことをCさんへ伝えると、とても喜んでくださいました。それから1日1杯コーヒーにとろみをつけて、ゆっくりゆっくり少しずつ飲むようになりました。Cさんの表情は明るくなり、「もっとこれから好きなものを食べたい。訓練を頑張らないとね。」とおっしゃってくださいました。Cさんを通して、患者さんの好きなものや強みを活かすことは活力につながると学びました。患者さんの個性に着目して、やる気を引き出せるような看護がしていきたいと思いました。そのためにも、日頃から一人一人の患者さんとの関わりを大切にしていきたいです。