新人が語る心に残る看護場面
2020.11.16 時間を作る
心臓の手術をしたBさん。Bさんは既往に脊髄損傷により左上肢麻痺、両下肢は動かすことはできますが自立体動は困難な方でした。そのため「枕の位置を変えてほしい。」「肩をマッサージしてほしい。」「上がらない左腕の曲げ伸ばしをしてほしい。」など数分に1回、ナースコールがありました。他の業務で忙しくバタバタとしているときは後回しにしたいなと思ってしまうことや、対応も雑になってしまうことがありました。
そんな時、たまたまBさんの体位変換後に周囲の物品を整えていると、Bさんから「少しでも右手が届くこの場所に、これを置いてほしい。自分で取れるものはやらないとね。」とおっしゃいました。Bさん自身も、思うように動かない自分にもどかしさや看護師への申し訳なさを感じているのだと知り、自分自身の対応を改めようと思いました。その後、Bさんと話す時間を作ると「頑張れば左も動くようになると思う。右は物をつかむとか、細かいことができないから、どうすればいいかな。」などの発言か聞かれました。私に何ができるかを考え、右手で握れるリハビリのボールを渡し、一緒に指の曲げ伸ばしを実施しました。するとBさんはとても嬉しそうな表情になり「これをやっていけばもっとできるかもしれない。ありがとう。」とおっしゃっていただけました。
今までナースコールの対応に「またか。」と思いながらケアを行っていた時を振り返り、忙しい中でも一人の患者さんの思いを聞く時間をきちんと作り、丁寧に対応することの大切さを学ぶことができました。