新人が語る心に残る看護場面
2021.04.02 ご家族の言葉
独り立ちして間もない頃、私は病棟で急変しICUに入室されたAさんの受け持ちをしていたときの話です。
鎮静剤が投与されていたAさんは、声をかけても反応が乏しいことが多く、連日日勤で受け持ちをしていた私は「意識はないけれど、気分転換にでもなってくれるといいな」と思い、Aさんに洗髪や足浴などの保清を行っていました。
ある日、足浴の後片付けをしていると、Aさんの奥さんが面会にいらっしゃいました。私が急いで片づけを進めていると、奥さんが「こんなにやっていただいてありがとうございます。主人は眠っているけど、こんなに声をかけていただいて、足湯もやってくださって。喜んでいると思います。私もこんな姿の主人を見るのが辛いとばかり思っていたけど、私にできることはやらないとな、と思えるようになりました。本当にありがとうございます。」と声をかけてくださいました。
ICUでは意識のない患者さんが多く、患者さんからの反応があまりありません。自分の行動に自信を持つことができない日々でしたが、Aさんのご家族からの言葉で、少しの自信を持ってケアをすることができるようになりました。