新人が語る心に残る看護場面

2021.04.02 ご家族の言葉

独り立ちして間もない頃、私は病棟で急変しICUに入室されたAさんの受け持ちをしていたときの話です。

鎮静剤が投与されていたAさんは、声をかけても反応が乏しいことが多く、連日日勤で受け持ちをしていた私は「意識はないけれど、気分転換にでもなってくれるといいな」と思い、Aさんに洗髪や足浴などの保清を行っていました。

ある日、足浴の後片付けをしていると、Aさんの奥さんが面会にいらっしゃいました。私が急いで片づけを進めていると、奥さんが「こんなにやっていただいてありがとうございます。主人は眠っているけど、こんなに声をかけていただいて、足湯もやってくださって。喜んでいると思います。私もこんな姿の主人を見るのが辛いとばかり思っていたけど、私にできることはやらないとな、と思えるようになりました。本当にありがとうございます。」と声をかけてくださいました。

ICUでは意識のない患者さんが多く、患者さんからの反応があまりありません。自分の行動に自信を持つことができない日々でしたが、Aさんのご家族からの言葉で、少しの自信を持ってケアをすることができるようになりました。

バックナンバー

2024.11.12 患者さんに寄り添うこと

2024.08.15 聞くという看護

2024.07.08 信頼関係を築く上で大切なこと

2024.06.11 産婦さんとの関わり

2024.01.11 足湯

2024.01.11 プリセプターからの教え

2023.12.01 術前訪問

2023.12.01 コロナ禍での看護

2023.10.30 患者さんから教えてもらったこと

2023.10.30 患者さんの望みを尊重した関わり