新人が語る心に残る看護場面

2021.06.10 何もできなかった

Aさんは心不全で入院されていた方でした。意識レベルの変動があり、内服、酸素投与、持続点滴をしていました。Aさんは呼吸困難感が強く、ADLは全介助の状態でした。

Aさんからナースコールがあり訪室すると、「この酸素も点滴も全部外したら、私はすぐに向こうへ行けるのですか?」と聞かれました。私が酸素を外したりするとさらに苦しくなってしまうことを伝えても、「それで向こうへ行けるのなら、外してください。」とおっしゃいました。Aさんは面会者が多かったため、「ご家族も悲しみますよ。」と声をかけてみましたが、ご家族との関わりやこれまでの思いがあまり良いものではないようでした。そして食後、食事を下げる時には「もう今日中に行けると思うから、一口だけにしておきました。」とおっしゃいました。私は「そうだったんですか。」としか返せず、結局、Aさんの思いに対して、「呼吸が少しでも楽になるよう、先生に相談してみましょう。」としか言えませんでした。

私は死を望むAさんに対して、自分は何もできなかったなと思います。どう関わっていけばよかったのか考え続けていきたいです。

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