新人が語る心に残る看護場面
2021.07.07 寄り添う看護の大切さ
ある日、夜勤で女性のがん末期のAさんを受け持ちました。Aさんはがんによる浮腫と強い痛みがあり、痛みと不安から頻回にナースコールがあり「もう私明日で死んじゃうのかな。痛いし、いつ楽になれるの。」と訪室するたびに訴えていました。私は死に対する不安や恐怖があると思い、痛み止めを使用したり、痛い部分をさすったり、口元が乾きやすいため、ガーゼで口元を湿らせたりと、できるだけ長くそばにいるよう努めました。夜勤の最後にAさんのもとを訪ねると、「あなたがそばにいてくれて嬉しかった。本当に優しい看護師さん。忙しかっただろうに、ごめんね。ありがとう。」と笑顔でおっしゃいました。苦痛な表情しか見せなかったAさんが、笑顔でおっしゃってくれて、今日行ったケアが患者さんに安心感を与えることができたと思い、嬉しくなりました。
死と毎日直面しながら過ごしている患者さんは、不安と恐怖でいっぱいです。がんを消すことはできないけれど、患者さんのそばに寄り添うことが安心感につながり、大切なケアであると感じました。業務に追われて、じっくり関わる時間が持てないときもありますが、その中でも寄り添う看護をこれからも大切にしていきたいです。