新人が語る心に残る看護場面
2021.07.07 気持ちに寄り添うということ
脊髄損傷で入院されたAさんの話です。Aさんは首と指先しか動かせない状態でした。そのためナースコールが押せないので、ボイスコールをベッドサイドに設置し対応していました。Aさんからのナースコールは15~30分おきに1回、時には10分おきにありました。多重課題に追われていた私は、徐々にAさんへの対応が雑になっていってしまいました。
そんな時、先輩から「なんでナースコールが頻回なのか考えたことある?今まで自由に体を動かしていた人が、いきなり体が動かせなくなるってどんな気持ちかな?Aさんの立場になって考えてみようか。」とアドバイスをいただきました。さらにAさん自身からもこんな言葉がありました。「このナースコールは命綱なんだよ。誰も俺のことに気付いてくれなかったら、俺は生きていけないんだよ。もっと俺のことを気にかけてくれ。」
それから私はナースコールが鳴らなくてもこまめに様子を確認しに行き、「体勢は大丈夫ですか?」「ナースコールの位置はこれでよろしいですか?」と声をかけるようにしました。そうすると、私自身もAさんに対して負の感情を抱くこともなくなりました。Aさんからも「ありがとう。明日もよろしくね。」と声をかけていただけるようになりました。
「患者さんの気持ちに寄り添う」という看護師としてとても大切なマインドが、自分に欠けていることを再認識し、反省することができた貴重な体験でした。