新人が語る心に残る看護場面
2021.09.03 私が「看護師の○○さん」になった日
話が長いことで有名なAさん。話が始まると、その場から離れることができず業務が行えない状況がありました。そのため、いかに早くAさんの話を途中で中断すればよいのか考えて関わっていた現状がありました。
そのAさんが、再入院されたのです。今回は腹水がたまり、今まで以上に辛い状況でした。そんな中、今後状態が悪化した場合どうするのかインフォームドコンセントが行われ、急変時はDNARの方針が決定したのです。その頃からナースコールの回数が増え、廊下を歩いている看護師に対しても大声で呼ぶようになってきたのです。訪室すると、心配なことや不安なことをおっしゃっていました。時間がない日勤帯では、あまりゆっくり接することができず、心のどこかに申し訳なさを抱えたまま、なるべく早くその場から立ち去るようにしてしまいました。
ある日、業務が落ち着いていたため、Aさんにシャボンラッピングを行うことに決めました。早速準備し実施すると、「すごく気持ちがいいよ。こんなことできるんだね。魔法だね。いやぁ、本当に気持ちがいい。それとな、あんたのその笑顔。本物だよ。うその笑顔じゃあないことわかるんだ、俺には。向いているよ、看護師。何て名前だっけ?君のことは忘れないよ。」とAさんはおっしゃってくださいました。その後、Aさんは私のことを「看護師さん」ではなく、名前で呼んでくれるようになりました。
看護師になって半年。「看護師とは何だろう。」と悩んでいたので、Aさんの言葉がとても身に沁みました。私が看護師としてできることを、もう一度見直して関わっていきたいです。