新人が語る心に残る看護場面
2021.12.21 話を聴くということ
入職し3か月くらい経った頃の話です。その時期に疾患からくる足のムズムズ感のせいで睡眠できず、昼夜逆転傾向にあるAさんがいらっしゃいました。Aさんはトイレへ頻回に行く方でしたが、歩行はゆっくりでトイレ介助に時間を要していました。その頃の私は、業務についていくのが精一杯で、余裕が全くない状況でした。Aさんのトイレ介助につくと「次の業務が迫ってしまう」と焦りを感じてしまっていました。しかし忙しいからこそAさんに焦りが伝わらないように、歩行中も転倒しないようにリズムをとったり、睡眠がうまくとれていないことについてAさんと向き合うように接したりしていました。何度かAさんを受け持つうちに、Aさんは「忙しいのに、時間をとってすみませんね。」と申し訳なさそうにおっしゃいました。私は笑顔で「大丈夫ですよ。トイレに行くのは、人として当然なのでいつでも呼んでくださいね。」と伝えました。Aさんは「ありがとう、助かるよ。」と答えてくださいました。そんなやり取りを繰り返すうち、Aさんが私に夜眠れないことについて相談してくださいました。私はAさんのムズムズ感を改善しようと、先輩に相談して温罨法を試したり睡眠剤の処方を医師に相談したり、自分なりに取り組んでみました。そして数日間試してみると、夜間眠れるようになり昼夜逆転も改善していったのです。私が「夜眠れるようになってよかったですね。」とAさんに伝えると、「○○さん(私の名前)に話してよかったよ。」と笑顔でおっしゃってくださいました。
看護師としての能力はまだまだ未熟ですが、「話を聴く」ことはできます。そしてそれが看護につながるんだ、と実感しました。今後も患者さん一人一人に向き合い、対話を中心とした看護をしていきたいと感じました。