新人が語る心に残る看護場面
2022.06.01 ご家族の存在
入職してすぐに受け持ったAさんのことです。咽頭がんの手術のため入院していたAさんは、術後合併症によりイレウスとなりコロストーマを増設していました。がんの手術だけでも不安が大きいはずなのに、状態が悪くなり気がついたら排泄口が変わり、退院後もストーマの管理をしなければならないという予定外のことが起こり、ショックが大きかったのではないかと思います。
Aさんは個室に入院されていたため、手術前はよくご家族とテレビ電話をしていました。術後は、脳梗塞を発症し顔の半分が麻痺した状態になり、「娘に顔を見せるのが恥ずかしい」とおっしゃっていました。しかし久々に見る家族の顔が携帯電話の画面に映ると、笑顔で涙を流されていました。コロナの状況で面会することができず、ご家族もAさんの顔を久々に見て、泣きながら「お母さんが元気そうでよかったね。」と話されていました。
入院中の患者さんにとって、治療中一番サポートが必要な時に面会することができないことはとても辛いことです。入院中に必要な物をご家族が持って来られたときには、外にいる家族を窓越しに見ながらテレビ電話で繋いでよく涙されていました。このことで闘病中の患者さんにとって支えとなるご家族の存在の大きさを知ることができました。大切な人と会えなくても、入院中私たちがどうしたら繋がりをもつことができるのか、考えるきっかけとなった私の大切なエピソードです。